今でこそ、サッカー選手の海外移籍は珍しいニュースではないかもしれない。ただ、海外にチャンスを求める日本人アスリートがまだ少なかった2001年に、サッカー大国ドイツで選手としてのキャリアをスタートさせた日本人がいたことを皆さんはご存知だろうか?

その人の名前は、土屋慶太氏。8年間に渡るヨーロッパ経験を経て、現在は東京23フットボールクラブでヘッドコーチを務めている。

現地でコーチングライセンスを取得し、サッカー通訳としてもお仕事をされるほどドイツ語が堪能な土屋氏は、私生活ではアメリカ人の奥様をお持ちの国際人!

そんな土屋氏が語る、海外挑戦のリアルとは? 38歳にして英会話学習を再開した理由とともにお話しいただいた。

土屋慶太プロフィール

大学卒業後、ドイツブンデスリーガ2部の1.FCザールブリュッケンでサッカー選手としてのキャリアをスタート。その後、チェコ2部ボヘミアンズ・プラハ、長く携わったドイツ4部EGCヴィルゲスなどでプレーをする傍ら、UEFAのコーチングライセンスを取得。2009年に帰国後、現在は東京23フットボールクラブでヘッドコーチを務める。

「海外で働きたい」という思いでつかんだドイツ行きの切符

――土屋さんは大学卒業後、日本のプロチームを経由せずに直接ドイツに渡られましたが、海外挑戦のきっかけは何だったのでしょうか?

――土屋さんは大学卒業後、日本のプロチームを経由せずに直接ドイツに渡られましたが、海外挑戦のきっかけは何だったのでしょうか?

最初から海外でサッカー選手になりたいと思っていたわけではなくて、自分は大学では教育学部にいたので、教職系のキャリアも視野に入れていました。ただ、漠然と「海外で働くという選択肢もあるな」というようなことを考えていたんですね。そんなタイミングでドイツリーグ挑戦のプログラムを知って、テストを受けたら合格することができたので「よし、行こう」と。

――海外での就職を目指すにあたって、特別な準備はされていましたか?

大学3年生の時には大手の英会話教室に通っていましたね。とはいえ、当然ドイツ語の勉強はそれまでしたことがなかったので。ドイツ行きが決まってからは、ドイツ語の会話の本を一冊買い、付属のCDを聴きながら基本的な会話フレーズを覚えるだけで精いっぱいでしたね。

チームに参加してからも、最初の頃は英語を交えてやり取りをしていたのですが、やはりドイツ語を使わないかぎり上達もしないということで監督から英語禁止令がでました。それからは、とにかく自発的にドイツ語でコミュニケーションをとりにいって、1年後にはピッチ上での意思疎通ができるレベルまで到達することができました。

認められるためには、自ら会話を仕掛けにいくことが必要

――1年で外国語を使いこなせるようになるのは大変なことだったと思うのですが、その秘訣はなんでしたか?

――1年で外国語を使いこなせるようになるのは大変なことだったと思うのですが、その秘訣はなんでしたか?

自分には「初対面の人から話しかけられるのを待つのではなく、自分で会話を仕掛けに行く」という心構えができていたので、プレーの面でも意思疎通を図りやすくなったのだと思います。

というのも、自分のパフォーマンスがいい時はチームメイトの側から積極的に話しかけてくれますが、パフォーマンスが悪くなった時に自分からコミュニケーションを仕掛けていかないと、誰も話しかけてくれなくなるんですね。そこで内に籠ってしまったせいでチームのなかでも孤立してしまい、悪循環に陥る……そういう事例は自分も含めて何人も見てきました。

――選手だからといって、サッカーだけやっていてもダメだということですね。

――選手だからといって、サッカーだけやっていてもダメだということですね。

常にピッチで存在感を示せる圧倒的な力のある、王様的なプレイヤーなら言葉の壁は関係ないのかもしれないですが、ほとんどの選手にはコンディションに波があり、いい時も悪い時も経験するもの。能力のある選手だったとしても、その能力を活かすための環境作りをしなくてはいけません。

例えば自分は、なるべく日本人コミュニティには近寄らないようにして、チームメイトと遊びに行ったり、言語から逃げないようにしていました。やはり、待っていても何も起こらないので、自分から積極的に動き、輪の中に飛び込んでいく姿勢を見せることが大切だと思います。例えば、岡崎選手や長友選手などは移籍当初からそんな素質を発揮していたと思いますね。

上下関係のない、フラットな文化の中で学んだ「伝えきること」の大切さ

――土屋さんはドイツでA級のコーチング・ライセンスも取得されています。選手からコーチへと役割が変わるなかで、求められるコミュニケーションスキルにも変化はありましたか?

だから、生きた英語――土屋さんはドイツでA級のコーチング・ライセンスも取得されています。選手からコーチへと役割が変わるなかで、求められるコミュニケーションスキルにも変化はありましたか?が学べるんです。

「教える」となるとサッカーに関する定型表現がアタマに入っているだけではだめで、例えばドイツのジュニアチームの子どもたちは練習が楽しくないと言うことを聞きません。そうなると、コーチには何よりも発言の説得力が求められます。

日本だと「コーチ」と「選手」、「先輩」と「後輩」という上下関係があることによって意思の伝達がスムーズにいく場面もあると思いますが、海外だとフラットな関係が前提となっているので、下からの意見の突き上げもガンガン出てくる環境です。

――実際に、日本人としてサッカーの本場でプレーを指導するとなると、それだけハードルも高かったのではないですか?

そうですね。特に自分の頃はまだ、世界的に活躍している日本人選手はほとんどおらず、日本のサッカーは全く相手にされないほどのレベルと見なされていたので、周囲からも「最初にナメられたらナメられっぱなしだよ」と言われていました。それだけに、指導する立場の人間として、自分が言いたいことをしっかりと伝えきる発言力が必要とされていました。

とにかく海外では発言をしないと「コイツは分かっていない」と思われてしまいますし、発言をすることによって初めて、自分の能力を知ってもらう機会を得られるのだと思います。

「家庭内英語」からのさらなるスキルアップを

――日本に帰国されてからは主に社会人チームのヘッドコーチとして活動され、またアメリカ人の奥様もいらっしゃる土屋さんですが、このタイミングでvipabcを利用して英会話学習を再開しようと思った理由はなんだったのでしょうか?

――日本に帰国されてからは主に社会人チームのヘッドコーチとして活動され、またアメリカ人の奥様もいらっしゃる土屋さんですが、このタイミングでvipabcを利用して英会話学習を再開しようと思った理由はなんだったのでしょうか?

今後はアメリカやイギリスなど英語圏でコーチをする機会がくるかもしれないですし、コーチとして世界を視野にいれるためには英語は必要不可欠なので、その準備をしたいと思ったのが理由です。

これまでは家庭の外で英語を話す機会が少なく、大枠の意味を伝えることができても「正確性」には課題が残っていました。英語はコミュニケーションが直接的で、はっきりと自分の意見を言いやすい分、正確な表現力が身につけばそれだけ自信を持って話すことにもつながってくると思います。

――これまでの英語学習スタイルと、vipabcとの違いはありますか?

――これまでの英語学習スタイルと、vipabcとの違いはありますか?

大学時代に通っていた英会話スクールでは、今日は過去形の練習、今日は現在進行形の練習、といったように文法テーマに沿ってカリキュラムが組み立てられていました。ただ、これは自分がドイツの語学学校に通うなかで身をもって知ったことでもあるのですが、日本人は筆記試験では満点を取れるのだけれど、筆記試験の点数が低い他の国の人たちのほうが実践的な場面ではペラペラ話せるんですね。

学校で習う外国語と、現地で使う言葉はまったく異なる以上、「聞く・話す・慣れる・使う」ということが大切で、vipabcはそのためのいい機会を提供してくれると思います。先生がこちらの発言を正しく言い換えながらフレーズのレパートリーを増やしてくれるのはもちろん、実践的な学習アドバイスをくれるのが嬉しいですね。

印象的だったのは、ひとつひとつの単語に意識を取られるのではなく、「全体の流れの中で発言を聞き取ったほうがいい」とコツを伝授してくれたこと。海外で仕事をするうえで、コミュニケーションで損をしたくないので、こうしたアドバイスを基にどんどん上達できればと思います!

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